『ゼブラ企業』という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
ゼブラとはシマウマのことですが、
俗に未上場で企業評価額が10億ドル以上の
”実存しないぐらいユニーク”な企業が
『ユニコーン企業』と呼ばれるのに対して
持続可能な成長を求め、顧客や社会への貢献を重視するのが
『ゼブラ企業』と呼ばれます。
国分寺市にあるカフェクルミドコーヒーについて調べていた時
このお店の考え方は正に『ゼブラ企業』の経営なんじゃないか、と思いました。
今回は私の大好きなクルミドコーヒーの紹介とともに
その経営に触れていきたいと思います。
目次
クルミドコーヒーの基本情報
まずはクルミドコーヒーの基本情報から。
【住所】 東京都国分寺市泉町3-37-34 マージュ西国分寺1F 【電話番号】 042-401-0321 【営業時間】 10:30〜22:30(L.O. 22:00) 【アクセス】 JR中央線(快速)西国分寺駅 南口から徒歩3分(159m)
クルミドコーヒーの魅力
クルミドコーヒーは新宿から快速で30分の西国分寺駅の近くにあります。
東京の中心部からは離れているし、大きな駅でもない。
それなのに待ち時間が出るほどの人気になる不思議な魅力があります。
子どもと子どもだったキミのためのカフェ
お店に入るとおとぎ話の世界に入ったような感覚になります。
木のぬくもりのある空間にくるみ割り人形が並び、
地下の部屋があったり、階段を上がるとかわいい小部屋があったり
人間が入れないような部屋があったり…。
席に着くと、小さな器の中に殻のついたクルミが置いてあり
店員さんに「ご自由に食べてください」と言われるんです。
横にある木製のくるみ割り器でゴリゴリっと割って
中のクルミをリスのように食べる(笑)
割るのに慣れてないからクルミはボロボロになるんですが
”割って食べる”というのが楽しい。
正に子供心をくすぐられるという感じです。
そんな雰囲気だから置いてある『ぐりとぐら』の本を持ってきて
友人と眺めたりして注文を待ちました。
味は言うまでもなし!
味は言うまでもなく、という感じなのですが(笑)
お店のぬくもりのある雰囲気とちょうど同じような
優しく丁寧に作っていただいたような味がします。
コーヒーやカフェラテって、今の時代、
そこそこのカフェであればどこでも美味しいものが飲めますよね。
でもこのお店は、
”クルミドコーヒーの〇〇”が飲みたくなる(食べたくなる)
そんなお店だな、と思います。
日本1位のカフェ
クルミドコーヒーは2013年に「食べログ」の「カフェ部門」で
日本国内で1位を取っているんです!
国分寺市でもなく、東京でもなく、日本で1位…
東京の都心でもないのに!…ただならぬカフェです。
私はクルミドコーヒーの雰囲気、メニューの内容、世界観、店員さん…
どれかと言うより、全部、クルミドコーヒーが好きなんです。
お店のコンセプトというか世界観が”作り込まれている”のではなく
“自然にある”。だから違和感がなくとても居心地が良いのだと思います。
ゼブラ企業とユニコーン企業
ここで『ゼブラ企業』と『ユニコーン企業』という言葉について
聞きなれない方が多いと思うのでお話ししますね。
ゼブラ企業・ユニコーン企業という言葉が
日本で使われるのはごく最近のことです。
ゼブラ企業
『ゼブラ企業』の特徴として”他者との協調”がキーワードとしてあげられるでしょう。
人に、地域に、そして社会にとってより良いインパクトを与える事を優先事項とし
持続可能な範囲での成長を追求している企業が『ゼブラ企業』と呼ばれる企業です。
市場においても寡占・独占を目指さず、他社とも共存共栄します。
ユニコーン企業
未上場で企業評価額が10億ドル以上の
”実存しないぐらいユニーク”な企業が
架空の生物になぞらえて『ユニコーン企業』と呼ばれています。
有名なユニコーン企業の例としては
UberやAirbnb, TikTok…などがあげられます。
日本で言えば、上場前のメルカリもユニコーン企業と言えるでしょう。
『ユニコーン企業』企業の特徴である、
他に類を見ないタイプのサービスを提供することによって
市場を独占し一攫千金を得るというスタイルは
スタートアップ企業の理想の一つとされていました。
しかし企業の社会的存在意義の側面から
社会に良い影響を与えているのか疑問視する声があがりはじめました。
このような流れから、急成長や巨額の利益を目指さず
長期的に世の中に価値を提供する『ゼブラ企業』が注目されはじめました。
影山知明さんがつくるクルミドコーヒー
影山知明さんはクルミドコーヒーを作った実業家です。
著書を出版したり最近はTEDxShibuyaでプレゼンをされ
知ったという方もいるかもしれません。
”事業計画を作らない”、”植物が育つようにお店を作る”など
独自の経営の考え方が注目を集めています。
影山知明(かげやま ともあき)さんのプロフィール
1973年東京生まれ。 東京大学法学部卒業後、マッキンゼー&カンパニーを経て、 ベンチャーキャピタルの創業に参画。 その後、株式会社フェスティナレンテとして独立。 2008年、西国分寺の生家の地に多世代型シェアハウスのマージュ西国分寺を建設し、 その1階に「クルミドコーヒー」を、2017年には国分寺に「胡桃堂喫茶店」をオープン。 著書『ゆっくり、いそげ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』(2015年 大和書房)
日本最高峰の大学を卒業し、大手コンサル会社に就職…など
なんとも華麗な経歴な方ですが
今は事業計画を作らないでカフェの経営をしているとは
とても面白いですね。
昔から”独り占めにしたいという気持ち”がまるでなく
お人好しで穏やかなな性格だそうです。
クルミドコーヒーはそんな影山さんの性格を
映し出しているようにも感じます。
クルミドコーヒーと地域の関わり
クルミドコーヒーはお店のある地域の関わりを多く持っていて
影山さんは国分寺市の地域通貨を作るなどの地域振興活動をされています。
怪我で作業のできない苺農家さんの
収穫の手伝いを呼びかけ、40人ほどが集まったり
ピークタイムに人でが足りない近くの八百屋さんに
クルミドコーヒーのスタッフ2人が応援に行く…
というような地域との関わりがこれまであったそうです。
自分のカフェが儲かっていれば良い、と考えるのではなく
周りの人、周りのお店が困っていたら助ける。
地域への貢献を優先事項とする
『ゼブラ企業』の特徴に当てはまります。
しかし影山さんはこのような地域との関わり・貢献を
”生き残り戦略なんだという感覚さえある”と語っていて
興味深いですよね。
クルミドコーヒーとそこで働く人たち
影山さんはスタッフの人にもどのようにgive(支援)できるかを考えていると言います。
実は『ゆっくり、いそげ(著書)』も一義的な読者として想像していたのはお店で働いてくれている仲間たちでした。彼らの中にも行き詰まりを感じたり、行き場が無くてここに辿り着いた人もいます。このチームに加わったことで、少なくとも彼らが自分を取り戻し、次の一歩を踏み出すための伴走役というか、付き添いができればいいと思っています。
影山さんとクルミドコーヒーで働く方々が
人と人として関わりあっている、と言うことが感じるお話だと思います。
実際にクルミドコーヒーで店員さんとお話しした際、
ある店員の方が作ったフェルトの人形をお店に飾ったりしていて
比較的自由に楽しく働いている印象が残っています。
機械のように働くだけの場所では、
自分を取り戻すような居場所にはなりませんよね。
クルミドコーヒーは雇用おいても
『人や社会に良いインパクト』を与えているように思います。
まとめ
おそらく影山さんは『ゼブラ企業』という言葉を意識して
お店を作ってはいないのですが
クルミドコーヒーはお客さんに心地よい空間を提供するだけでなく
カフェのある地域に貢献し、人を支える存在となる
ゼブラ企業の良い例なのではないかと思います。
クルミドコーヒーは毎年売上を14%ほど成長させ
2017年には新しいお店をオープン、
他にも出版業を始めたり哲学を語り合う場を提供するなど
影山さんのビジネスは成長を続けています。
『ゼブラ企業』はビジネスが成長すればするほど、
人や社会や地域への貢献度も高まり永続性が高まります。
こんなお店が色々な地域にできていったら
少しずつ優しい社会になっていくような気がする
そんな素敵なカフェです。
行ったことのない方はぜひ一度
あの空間を体験してみてはいかがでしょうか。
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